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今年の夏休みはこれに挑戦。天の川を見るっ!
2014.7.28更新

<いて座、さそり座からわし座にかけて…天の川>
撮影地 : 長野県入笠山⁄撮影日 : 2012.8.12⁄カメラ : 一眼レフタイプデジタルカメラ⁄レンズ焦点距離 : 28mm⁄ISO : 3200⁄絞り : F2.8⁄露出時間 : 40秒⁄星空雲台ポラリエを使用(星追尾モード)⁄撮影者 : 井川俊彦
天の川という言葉は誰もが知っているけれど、実際に見たことは…?
1年の中で、夏は特に天の川を見やすいシーズン。
月や惑星とはひと味違う、壮大な宇宙のスケールを感じることができます。
天の川を見るためのいくつかの条件をクリアすれば、意外と簡単に見つけられることも。
そして一度見ると、次からは条件さえ整えばすぐに見つかるようになります。
今年の夏はぜひ、天の川経験者になりましょう!
天の川の正体は?
天の川は、無数の星の集まり。
住宅街などの空では、惑星や1等星などはポツンポツンと光って見えますが、それよりもっと淡い光がうわーっとたくさん集まって、まるで川のように連なって見える状態なのです。
「川」と言うものの、実際に見てみると最初は薄い「雲」のように見えるかもしれません。
英語ではMilky Way、ミルクをこぼしたようだと表現しています。
ではなぜ夏だと天の川が見やすいのか? …それは天の川の濃く(星がたくさん集まっている)て良く見える部分が、さそり座やいて座などの辺りにあるから。
そしてそれらの星座の見やすいシーズンが夏だからです。
見える時間帯は、春ならば遅め(夜明け前)、秋は早め(宵の口)になりますが、夏ならば日没後から夜更けまで見ることができます。
位置についても、春や秋は空の低い所にしか見えませんが、夏ならば南の地平線から天頂に向かって縦に伸びる姿を眺めることができるのです。
冬は、夏の天の川とは違う部分が見えるのですが、そこは薄い(星の集まりが少ない)ので夏ほどハッキリと見ることはできません。
ズバリ! こうすれば天の川は見える

<月が出ていない日時> 青い部分が月の出ていない時間帯です。この日時に天の川探しを行ってください。。
天の川を見る条件で、最も大切なのは空が暗いこと。街灯や看板の明かりがたくさん集まっていると、夜空を明るくしてしまうので、市街地から離れた海や山間部などが適しています。そしてもう1つ、月が出ていないことも重要です。月は私たちが思うよりもかなり明るく、天の川の光をかき消してしまいます。満月の前後数日を避けて、右図の青い部分である月の出ていない時間帯をねらってください。また目の方も準備が必要です。街灯や車のライトなど明るいものを視界に入れないようにして10分以上過ごし、十分に目を暗さに慣らします。それから天の川の位置もあらかじめ覚えておきましょう。天の川が最も濃くてわかりやすいのは、さそり座、いて座の辺り。右上の星図の時間帯ならばちょうど南の低めの空にあります。そこから夏の大三角に向かって伸びているので、さそり座と夏の大三角が探せればOKです。ちなみに天頂に近い場所にははくちょう座がありますが、そのくちばしにあたるアルビレオ(3等星)よりも天の川の星々は暗いので、少なくてもアルビレオが見えていないと天の川も見えてきません。
天の川を見つけるコツ
- 街灯りの少ない場所に行く(手元で文字が読めるようでは明る過ぎ。4等星より暗い星が見えるような場所)
- 月明かりのある時刻を避ける
- 目を暗闇にならす(電灯や車のライトを見た直後はダメ。できれば20〜30分暗い場所だけを眺めて目の感度を高める。懐中電灯を使う場合は、赤いセロハンで覆うと目への刺激が弱まり、天の川を探す妨げになりません)
- 天の川の位置を覚えておく
気をつけること
- 駐車場など車の往来がある場所で見るのは危険!
- 真っ暗になる前に足元の点検をして、危険な場所でないことを確認する!
- いくら天の川が見たくても私有地などへは入り込まないこと!
双眼鏡で宇宙を感じよう!

<いて座付近の天の川> 地上の街明かりが影響して、地平線付近の天の川は見えません。
撮影地 : 福島県田村市⁄撮影日 : 2012.8.12⁄カメラ : 一眼レフタイプデジタルカメラ⁄レンズ焦点距離 : 30mm⁄ISO : 1600⁄絞り : F4⁄露出時間 : 30秒⁄星空雲台ポラリエを使用(星景撮影モード)⁄撮影者 : 井川俊彦
双眼鏡で天の川を見るとどうなるでしょう?
もし肉眼で見つけられなかった人でも、双眼鏡を使えば見えてくることがあります。
肉眼で見た印象とは違い、天の川の正体、細かな星のつぶつぶが見えてきて、その数の多さに圧倒されることでしょう。
天体望遠鏡と違って、双眼鏡は両目で見るので視界が広がり、星空を壮大な空間として感じられます。
ぜひ双眼鏡を使って、何分、何十分と天の川を見つめてみてください。
その宇宙の奥行きの深さ、果てしないほどの距離をじわじわと感じることでしょう。
さらに自分の体が浮いているような、宇宙に吸い込まれていくような感覚が味わえるところまでいったら、この夏は最高!
夏休みに天の川観察をしよう!
いろいろな場所で天の川を探してみて、その記録をつけてみよう。
右上の<月の出ていない日時>の表から、何日か観察に適した日を選んで、以下のような項目を書きとめておきます。
観察した日が多いほど、充実した観察記録ができあがりますよ。
- 日付
- 場所
- 天気
- 天の川が見えたかどうか(どれくらい見えたかスケッチする)
- ほかにどのような天体が見えたか
<オススメ 双眼鏡>
アスコットZR8×42WP(W)
●星空を見るのに適した広角タイプ。プリズムとレンズに多層膜コーティング(PFMコート)を施し、暗い星空でもシャープな視界を確保します。
倍率 : 8倍
対物レンズ有効径 : 42mm
サイズ : 13.3×18.1×5.9cm
重さ : 870g
広角、防水、PFMコート
科学情報誌「So-TEN-Ken」Vol.51より転載。