星空ニュース

まるで月みたい!? 満ち欠けする金星を見てみよう!

2015.6.30更新

金星の満ち欠け

<金星の満ち欠け>
内合に近い状態から外合に近い状態まで、並べて合成したもの。形も大きさもずいぶんと変化していることがわかります。撮影:沼澤茂美

2015年に入ってから初夏までずっと、夕焼けの空に宵の明星が見えていることに気づいていますか?
マイナス4等級前後という、ほかの星とは比べ物にならない明るさで輝いています。
肉眼では1つのキラッとした粒にしか見えない金星ですが、実は三日月のように細くなったり、太くなったり、大きさもずいぶんと変化しています。
また金星は日の出前と日没後の数時間しか見られないわけ、地球のすぐお隣の惑星なのに、あまりにも過酷な環境にあること…今回はそんな金星のフシギに迫ってみましょう。

どうして金星は満ち欠けするの?

A 内惑星と外惑星

A : 内惑星と外惑星

金星などの惑星は自分から光を放っているわけではなく、太陽に照らされて私たちに見えています。
月も同じで、太陽に照らされている部分は見えますが、太陽光の当たっていない部分は暗くて見えません。
同じ理由で金星にも満ち欠けが起きるのですが、火星や木星では起こりません。
なぜでしょう…?
惑星は太陽から近い順に水星、金星、地球、火星、木星…と並んでいて、地球よりも太陽に近くて内側の軌道を回っている水星と金星を内惑星と呼んでいます。
それ以外の、地球よりも外側の軌道を回っている火星や木星などは外惑星と呼びます。
外惑星は地球から見ると、常に太陽光の当たっている側しか見えません
一方、内惑星は太陽が当たっている側も当たっていない側も見えるため、見た目の形が変わるのです。

金星がよく見えるタイミング

B 金星の満ち欠けと大きさの変化

<B : 金星の満ち欠けと大きさの変化>
金星の太陽光が当たっている面と、地球との角度によって、月のように満ち欠けをしている姿が見られる。地球に近づいてくると、金星の満ち欠けは細く、そして大きく見える。

図Bのように、地球—太陽—金星が一直線に並ぶ位置に金星があるときを外合と言います。
このとき地球から見ると、金星には太陽光が正面に当たっているものの、太陽と重なっているので見ることはできません
また地球—金星—太陽の順に一直線に並んだときは内合といいますが、地球から見て金星に太陽光が全く当たっていないのでやはり見えません。
外合と内合、この2つの位置以外にあるとき、地球から金星を見ることができます。
ですが内合・外合に近いほど、つまり地球から見て太陽の方向に近いほど、見える時間は少なくなります。
逆に一番見やすい(見える時間が長い)のは、地球から見て金星が太陽から最も離れているとき、図の東方最大離角、西方最大離角と書いてある位置にあるときです。
それでも太陽と金星の角度は約46度しかありません。
地球が1日に360度グルっと回る(自転)うちのわずか46度の間なので、地球から金星が見えるのは、最大でも日没後または日の出前の3時間程度なのです。
また内合に近くなると、地球と金星がとても接近してくるので、大きく見えるようになり、逆に外合に近いときは距離が遠いので小さく見えます。

天体望遠鏡や双眼鏡で金星を見てみよう!

昼間の金星

<昼間の金星>
三日月のように見えますが、これは金星。しかも日中に撮影した画像です。撮影 : 沼澤茂美

金星は外合から内合までの間は日没後、宵の明星として見えます(図B参照)。
その後、内合から外合までの間は日の出前に明けの明星として見えます。
観察するときは天体望遠鏡で倍率を100倍以上にして見ると、満ち欠けがよくわかります。
継続的に観察すれば、大きさが変化することもわかるでしょう。
この夏、金星がどのように変化していくか、下のカレンダーにまとめたので参考にしてください。
大きさや満ち欠けの様子から、今、金星がどの位置にいるのか、想像しながら観察を続けるとさらに楽しくなりますよ。


日没直前や日の出直後に天体望遠鏡で観察するときは、視界に太陽が入らないよう、十分に気をつけて下さい。

C 6〜8月の日没時の金星の見え方

<C : 6〜8月の日没時の金星の見え方> (東京の場合)

<2015年夏の金星カレンダー>
こんなポイントに注目して観察するとおもしろいよ!

● 6月上旬
天体望遠鏡(倍率100倍以上)で観察すると半月状に見える
● 6月7日
金星が東方最大離角。日没後、金星が沈むまで3時間ぐらい観察可能。光度-4.3等級
● 6月下旬
月末に向かって金星と木星が徐々に近づいて見える(毎日スケッチや写真を撮り、後でまとめるとおもしろい)
● 6月20日
月齢3.9の三日月と金星が近づいて見える。そばに木星もあり、三角形に並ぶ
● 7月1日
金星(-4.4等級)と木星(-1.8等級)が最も近づいて見える
● 7月上旬
金星と木星が徐々に離れていく様子がわかる
● 7月10日
金星が最大光度(-4.5等級)。天体望遠鏡(倍率100倍以上)で観察すると6月上旬の半月状よりだいぶ欠けてきて少し太った三日月状に見える
● 7月19日
月齢3.4の三日月と金星(-4.5等級)が近づいて見える。天体望遠鏡(倍率100倍以上)で観察すると7月10日よりさらに欠けてきて三日月状に見える。倍率100倍ぐらいで見ると肉眼で見た三日月とほぼ同じ大きさに見える
● 7月下旬
天体望遠鏡(倍率100倍以上)で観察すると、三日月状に徐々に細く(大きさは大きく)なっていく金星を見られる。太陽に近づいていくので、次第に見える位置が低くなり観察しづらくなる
● 8月16日
金星が内合(地球からは見えない)
● 8月下旬
夜明け前の東の空に明けの明星(-4.3等級)として見えるようになる。天体望遠鏡(倍率100倍以上)で観察すると細い三日月状に見える(7月下旬と比べると向きは反対)

<オススメ 天体望遠鏡>
ポルタⅡ A80Mf
●圧倒的な操作のしやすさ、入門機レベルでは群を抜く剛性。…ビギナーからベテランまでの一般ユーザーだけでなく、全国の公共施設等でも愛用されている経緯台式天体望遠鏡のスタンダード機。
光学形式 : 屈折式
対物レンズ有効径 : 80mm
焦点距離 : 910mm
架台形式 : 経緯台
付属品 : 接眼レンズ2種類、正立天頂プリズム、他

商品詳細

ポルタⅡ A80Mf

科学情報誌「So-TEN-Ken」Vol.55より転載。一部再編集。

ページの先頭へ戻る