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新旧“月”イベント対決! 9.27中秋の名月と9.28スーパームーン。満月はどっち??
2015.9.16更新

<昇ったばかりの中秋の名月>
地平線に近い月の方が、高く昇った月よりも濃い黄色(もしくはオレンジ色)に見えます。
撮影 : 2013.9.19 ©井川俊彦
最近、SNSなどWEB上で話題を集めているスーパームーン。一方、古来から日本人が愛でてきた中秋の名月。
今年はこの新旧“月”イベントが1日違いでやってきます。
あれっ! 両方とも満月だったら、同じ日になるはずじゃないの?
もちろん、そんな疑問もわきますよね。
今回はそんな、スーパームーンと中秋の名月と満月の違い、それから月の裏と表(?)のお話をしていきましょう。
中秋の名月は満月じゃなかった!?

<スーパームーンと中秋の名月>
2015年の場合。月の軌道は約8.85年周期で回っているので、ほかの年の月の軌道はこの図と違う場合があります。
ここ数年で注目され始めたスーパームーン。
もともと占星術に使われる言葉で、その意味は“その年で最も地球に近い(大きく見える)満月もしくは新月”です。
実際に今年9月に満月となる瞬間は28日の11:51で、年内で月が地球に最も近づくのは9月28日の10:46。
昼間なのでこの瞬間の月は見えませんが、その日の夜が「満月であり、スーパームーンである」ということになります。
それでは27日の中秋の名月は満月の前日ということになりますが、実はこのように中秋の名月と満月は必ずしも一致しないのです。
中秋の名月というのは旧暦の秋(7~9月)の真ん中、8月15日の夜の月(十五夜)のこと。
つまり新月の日を1日目として、15日目の月を指していたのですが、月の軌道が正円でなく楕円形であることなどの理由で、毎月必ず15日目に満月になるというわけではないのです。
それで中秋の名月が満月だったり、そうでなかったりするのです。ちなみに
2013年 : 中秋9月19日、満月9月19日
2014年 : 中秋9月8日、 満月9月9日
2015年 : 中秋9月27日、満月9月28日
2016年 : 中秋9月15日、満月9月17日
と、最大で2日もずれています。
スーパームーンは、どれだけスーパーなのか…

<スーパームーンとミニマムムーン>
これは2014.8.11のスーパームーンと2014.1.16のミニマムムーン(最も遠い満月)を、同じ撮影条件で撮ったもの。
撮影 : ©井川俊彦
「今夜の月はスーパームーン」と言われると、思わず写真に撮りたくなりますよね。
1年の中で最も地球に近づいているとだけあって、迫力がありますし。それは「スーパームーンと言われたからそんな気がする」だけではなく、事実上、地球から遠いときの月とこれだけ違うのです。
地球と月の距離(※)は最も近いときで約356,400km、遠いときで約406,700kmと、その差は約50,000km。
地球から見た大きさは約14%変化し、明るさも約30%変わります。
大きさを写真で比較してみると、よくわかりますね。
※ 地球の中心と月の中心との距離(地心距離)で測定。
「何に見える?」月を双眼鏡で見てみよう!

<天体望遠鏡で撮影した中秋の名月>
撮影 : 2013.9.19 ©井川俊彦
月がせっかく地球のそばまで近づいてきてくれたのですから、ここはぜひ双眼鏡で見てみましょう。
倍率6倍ぐらいのコンパクトタイプの双眼鏡でも、クレーターや海のような月面の模様がよく見えて、いきなり“宇宙をのぞいた”神秘的な気分になることは間違いありません!

<月の裏側>
アポロ16号が撮影。(Apollo 16 Crew, NASA)
ところで日本では月の模様をよく“お餅をつくうさぎ”に例えられますが、満ち欠けで部分的に隠れるものの、いつも同じ模様が見えている気がしませんか? つまり球体である月の同じ面ばかりが地球側を向いているということです。
これは月の自転と公転の周期がまったく同じだから。
わかりづらかったら、ボールを2つ(地球と月)用意して実験してみると良いでしょう。
では地球から見えない裏側は一体どうなっているのでしょう?
それについては、探査機がちゃんと撮影してきてくれました。
下の写真のように海と呼ばれる黒っぽくツルんとした部分がほとんどなく、ゴツゴツとした山やクレーターばかりです。
2014年にはスーパームーンが3回もあったのはナゼ?
「スーパームーンは、地球と月が最も近くなるとき(近地点)の満月もしくは新月」とお話しましが、月の軌道も変化しているので近地点が必ずしも満月や新月とは限りません。
それなので、厳密には“月がある程度地球に近づいたとき”と、少し幅を設けてあります。
地球と月の距離がその範囲にあるときに満月(新月)となれば、それは全てスーパームーと呼ばれるわけです。
そのため2014年は3回のスーパームーンがありました。また逆に1年に1度もスーパームーンがないこともあります。
<オススメ 双眼鏡>
アトレックライトBR6×30WP
●中型機の中でも軽くて持ちやすく、価格も比較的安くてコストパフォーマンスの高い双眼鏡。
初めて買う双眼鏡としてもオススメです。
倍率 : 6倍
対物レンズ有効径 : 30mm
サイズ : 11.5×16.0×5.4cm
重さ : 500g
科学情報誌「So-TEN-Ken」Vol.56より転載。一部再編集。