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ほぼ10年ぶり! 1月9日に金星と土星が大接近!!
2015.12.22更新

<明けの明星>
富士山頂上の上に見えているのが“明けの明星”金星。1月9日にはこの金星に土星が寄り添う姿が見られます。撮影 : ©前田徳彦
夏の終わり頃から東の空で輝き続けている“明けの明星”。
早起きのご褒美のように、清々しく華麗な姿を見せてくれていますが、1月9日、これにボーナスが加わります。
金星が土星のすぐそばまで移動してめったに見られない“大接近”が起こるのです!
さらに細〜い月が加わったり、ほかの惑星もきれいに並んだりして、この冬は夜明け前の空から目が離せません!!
双子のようにぴったり寄り添う金星と土星

<2016年1月9日5:30の金星と土星の位置>
最接近はこの約8時間後の13:15。このとき見かけ上約5分の距離まで近づきます(概念図。天体の大きさと見かけの距離の比は、実際とは異ります)。
2016年1月に入ると金星、火星、木星、土星の見頃となります。しかも夜明け前ならば、これらの惑星がいっぺんに見えるのです。
さらにすごいのは、1月9日になると金星と土星がぴったりと寄り添う姿が見られること!
2つの惑星の(見かけの)距離は角度にしてわずか0.4度(=24分)以内。
満月の大きさが約0.5度(=30分)なので、月の円の中に2つの惑星が入ってしまうということです。
これほど金星と土星が近づいて見えるのは約10年ぶりになります。
この大接近が見られるのは1月9日の早朝、金星と土星が地平線から昇ってくる4:15頃から空が明るくなる6:00前ぐらいまで。この頃、金星は-4.0等級、土星は0.4等級。肉眼で見るとダントツに明るい2つの点が南東の空、少し低いところに見えます。
双眼鏡でも1つの視野に同時に2つの惑星をとらえることができ、明るさの違いなどをはっきりと感じることができるでしょう。
天体望遠鏡を使う場合はあまり倍率を上げてしまうと、2つの惑星を1つの視野の中で見ることはできなくなります。実視界が大体24分以上になるよう、接眼レンズを選びましょう。満月がほぼ全部入るかどうかが目安です。
このページの最下段で紹介しているポルタⅡ A80Mfを例に挙げると、倍率を100倍ぐらいまでに抑えると金星と土星が同時に見られて、しかも土星の環や金星が少し欠けた姿も感じ取ることができるでしょう。
日の出まで観察を続ける場合は、昇ってきた太陽を視野に入れないように注意してください。目に重大な損傷を負うことがあります。
月、火、水、木、金、土が勢ぞろい!?

<2016年2月5日5:40頃の空>
月と5つの惑星、2つの1等星が美しいラインを夜空に描きます。
見頃は1月9日だけではありません。2015年12月下旬に入ると、夜明け前の東南東から南の空で、土星、金星、火星、木星と左から斜め上に向かって順番に並んでいる様子が見られるようになります。
大晦日が近づいてくると、その列に月も加わるようになります。
そして1月7日には金星と土星、月齢26.4の細〜い月が3つそろって南東の方角に現れます。
これはぜひ、写真に撮っておきたい光景です。
さらに2月に入ると、低い位置に水星が現れます。地平線近くまで空が見渡せる場所であれば、南東から南西に向かって水星、金星、土星、火星、木星の順に惑星が並び、その間を月が日に日に細くなりながら移動していく様子を見ることができます。
恒星も負けてはいません。おとめ座のスピカやさそり座のアンタレスもその列に加わり、冬の夜空を駆け上る星々の美しいラインが描かれることでしょう。
ホントはこんなに違う大きさと距離!?

<金星と土星の見かけ上の接近の様子>
天体の大きさや距離の比は実際のものと異なります。
金星と土星の最接近は、厳密には1月9日の13:15。
この時点を境に、東から土星—金星の順に並んでいたのが、金星—土星の順に入れ替わります。
惑星たちの位置の変化を12月からずっと見続けると、金星以外の惑星はそれほど大きく変わることはなく、金星だけがほかの惑星の間をチョコチョコとまめに動いているように見えます。
これはほかの惑星に比べて地球から金星までの距離が近く、さらに金星の公転周期が短いから。このお話の最初の方で「2つの惑星の(見かけの)距離」と言いましたが、今回の大接近はあくまでも地球から見たときの場合で、宇宙に飛び出て全体を見てみると、イラストのように実際の距離はこんなにも離れているのです。
最接近時の地球から金星までの距離は約18,000万km。土星は約161,000万km。その差は約143,000万kmで、地球を大体35,700周した距離にもなります。
大きさを比較すると土星は金星の約9.6倍。10倍近くも大きさの違う2つの惑星が、遠近感のせいでどのように見えるのか…。
それを体感するためにも、今回の大接近は貴重な機会と言えるのです。
<オススメ 天体望遠鏡>
ポルタII A80Mf
●優れた剛性と扱いやすさで不動の人気! 鏡筒や架台を買い替えてグレードアップしていくことが可能。接眼レンズは2本ついています。今回の大接近を同一視野で見るには「PL20mm」の方を使用してください。
光学形式 : 屈折式
対物レンズ有効径 : 80mm
焦点距離 : 910mm
架台形式:経緯台
科学情報誌「So-TEN-Ken」Vol.57より転載。一部再編集。