天文部応援中<先生の部>お知らせ研修報告詳細

2012.7.22
教員研修-宇宙を見上げて科学を学ぼう
第13回 金星を見上げながら授業をしよう!

高橋幸弘

「サイエンスを好きになってもらいたい」
北海道大学•大学院 宇宙理学専攻 惑星宇宙グループ
高橋 幸弘 教授

今回は、北海道大学•大学院理学院 教授、宇宙理学専攻惑星宇宙グループ 高橋幸弘氏を講師にお迎えしました。
高橋先生は小学校3年生のときに、すでに天文学者になることを決意するほど天文に興味があったそうです。ところが、天文学者を目指して進学した大学は、理論が中心で観測を余りおこなっていなかったそうです。高橋先生はこれをきっかけに志望学科を地球物理学に変更しました。その後、高橋先生らのチームは雷観測器の研究、開発を行い、宇宙環境で雷を超高速で観測できる雷•大気光カメラを世界で初めて開発、金星探査機「あかつき」に搭載されました。
今後、金星軌道からの雷観測データがどんなものか期待されています。
本日は、過去と現在の雷研究の紹介と、金星の大気の謎に迫ります。

プログラム
  • ご挨拶
  • 研究者講演、質問
  • 開発者講演(天体望遠鏡の使い方、観測アドバイス)
  • 実践、質問(天体望遠鏡の組み立て方、ファインダー合わせ)

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講義「金星の雷の謎に迫る!」

講義中! 講義中! 講義中! 講義中!
雷の研究

1989年、地上の高感度カメラによって偶然,スプライトと呼ばれる中層•超高層大気で発光する新たな放電現象が撮影されました。これは、各国で雷研究が再び注目を集めるようになった、ひとつのきっかけにもなっています。
スプライトの発見と雷放電観測技術の発達(地上の電波観測網や人工衛星を用いた、個々の落雷の位置や強度情報の収集など)により、天気予報の精度向上、集中豪雨災害の予測、地球気候変動の解明などが進められています。

雷のメカニズム

地表で大気が暖められると上昇気流が発生します。上空は気圧が低いために上昇する空気は膨張し、それに伴って気温が下がるため、空気中の水蒸気が昇華して氷の結晶(氷晶)、すなわち雲粒が生成するわけです。氷晶は上昇気流に乗って上方に向かいます。
一方、衝突によって大きな塊となった霰(あられ)は重力によって下降します。それらが激しくぶつかり摩擦が起こることで、雲の中に静電気が蓄積されていきます。その結果、雲の上には軽く正に帯電しやすい氷晶が、下には重く負に帯電しやすい霰(あられ)が集まります。そして電位差が空気の絶縁限界である約100万v⁄mを越えると電子雪崩が起こり、雷が発生します。

金星に雷が発生するのか?

雷が起こるメカニズムには「水の雲粒」の存在が不可欠になります。
水の雲粒の存在が予測されている木星、土星では雷が観測されていますが、水が単体の雲粒として存在しないと考えられる金星の大気では、雷は発生しにくいと考える人もいます。一方、1995年に地上からの望遠鏡による金星観測で、雷らしき発光が発見されたという報告もあり、議論は収束していません。金星に雷が発生しているのであれば、地球ではまだ見つかっていない雷発生のメカニズムが存在するはずです。
高橋先生らのチームは世界初の惑星雷観測装置を開発。金星探査機「あかつき」に搭載し、2010年に打ち上げられました。「あかつき」は、一度金星軌道の投入に失敗しましたが、2016年頃に再投入の機会があります。その時には、この装置の観測によって金星の雷の存在の議論に決着がつくかもしれません。また、雷が存在した場合は金星大気の運動について、貴重な情報が得られる可能性もあります。


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高橋幸弘
講演者プロフィール

高橋 幸弘
高橋幸弘 教授 博士(理学)。
小学校3年生から天文学者を志す。現在は地上、成層圏気球、衛星や探査機に搭載する望遠鏡やカメラを開発し、雷をはじめとする地球及び惑星の大気現象の解明を行っている。

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実践

島田敏弘 島田敏弘
天体望遠鏡を使おう

天体望遠鏡について、基礎から応用までを講義。
内容は
① 種類と構造
② 倍率・口径の選ぶポイント
③ 架台の種類と構造
④ 天体観測に必要な基本知識や双眼鏡を用いた観測方法
⑤ 天体撮影で失敗しない撮影方法や必要機材
などを紹介。
参加者からは日頃の活動についての質問が多くあがり、講師が分かりやすく応答をおこないました。


組み立てた望遠鏡で早速のぞいてみる 双眼鏡の使い方も
星空を見てみよう

講義後、天体望遠鏡の
箱取出し
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架台に設置
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ファインダー調整
と、観測準備までを参加者に実演していただきました。
初めて天体望遠鏡を扱う方もいらっしゃいましたが、インストラクターの指導のもと無事に設置完了。


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配布資料
  • パンフレット「プログラム&授業で使えるトピック」
  • Vixenオリジナル「星空ガイドブック」
  • Vixenオリジナル「星座早見盤」
  • Vixen天体望遠鏡 製品取扱説明書
  • Vixen製品カタログ
  • 冊子「天体望遠鏡の仕組みと使い方」「ファインダー調整解説書」
  • リバネス出版発行誌
  • 講義資料
  • アンケート、お知らせ

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