全国家庭顕微鏡普及協会

第3部
第4話 消えた枯れ葉! 姿なき掃除当番!?

「先週、学校の大掃除があって、私は校庭の落ち葉の片付けをしました。
集めてみるとものすごい量で、校庭掃除の担当になったことを後悔しました。
その掃除の最中にふと思ったのですが、校庭でさえこんなに落ち葉が出るのに、山へ行ったらどれだけたくさんなんでしょう?
日本全国の山は一体誰が掃除をするのですか?
誰かがお掃除当番になっているのでしょうか?」

これは越智葉子さん(小4)から全国家庭顕微鏡普及協会にいただいたお手紙です。
確かに不思議です。
街路樹などはお掃除する人がいるし、お寺の境内や校庭の落ち葉は集めてたき火にしたりしますよね。
でも山の中などで落ちた葉は、いったい誰が掃除しているんでしょう?
…実はちゃんと“掃除当番”がいるんです。
それを確かめるために、こんな実験に挑戦!

枯れ葉を観察してみよう!

実験に必要なもの

  • 小さな耐熱性の器(湯煎にかけられればOK)
  • スライドグラス
  • カバーグラス
  • ガーゼ
  • カッター
  • 食品トレイ
  • 食品ラップ
  • 枯れ葉
  • 水(できれば精製水)
  • 粉寒天

※精製水は薬局などで売っています。

  1. 小さな器に水10〜15ccと粉寒天耳かき1〜2杯を入れ、沸騰した鍋のお湯につけて寒天を溶かします。
    溶けてからさらに5分ほど加熱。
    これを暖かいうちに、並べたスライドグラスの上に垂らします。
  2. 寒天がさめて固まるまでの間に枯れ葉と土の下準備。
    枯れ葉は5mm角ぐらいに切ります。
    土には10ccほどの水を加えて混ぜ、ガーゼなどでこして「土エキス」を作っておきます。
  3. 固まった寒天のまん中部分を残して、カバーグラスで覆える大きさにカッターなどで削り取り、そこに枯れ葉をのせます。
    土エキスを1滴垂らしてカバーグラスをかけ、乾燥しないように少量の水分と一緒に食品トレイなどに入れてラップでふたをします。
    暖かい部屋の中、寒ければこたつの中など、30〜40℃ぐらいの場所に1日置いて、顕微鏡で観察してみましょう。

現れた“ラーメン”の正体は!?

画像 枯れ葉の縁

<A> プレパラートにしたばかりの枯れ葉の縁。周囲には、とけ残った寒天のつぶつぶ以外、何もありません (200倍)。

実験の結果、一体何が見えてくるでしょうか…
最初は枯れ葉以外には何もなかったのに(写真A)、1日経つと枯れ葉の縁が少し溶けたようになって、そこに微生物がどっさり(写真B〜D)!
それもいろいろな種類を見ることができました。


画像 24時間後

<B> 暖かいところに24時間置いてから観察すると、ごらんのように細長い微生物や小さな点のような細菌がいっぱい発生しています(200倍)。

画像 24時間後

<C> こちらも24時間後の写真。水玉のような微生物が観察できます。これは、腐敗菌を食べる微生物と思われます(200倍)。

画像 細菌のコロニー

<D> 枯れ葉の近くに発達した、細菌のコロニー。小さな細菌が無数に集まったものですが、なんだかゆでる前のラーメンみたいです(200倍)。

実はこれ、枯れ葉を分解して栄養分にする腐敗菌(ものを腐らせる細菌の仲間)や、腐敗菌をえさにする微生物なんです。
腐敗菌はとても小さいものが多いので、コロニー(集団)を作らないと顕微鏡でも見えないものもあります。
でも小さな菌を食べる大きな菌や微生物は200倍ぐらいでもOK
。落ちた枯れ葉は、土の中に住んでいる、このような微生物によって分解され、栄養分を含んだ土の一部になっていた…というわけ。
これがナゾの“姿なき掃除当番”の正体!
この他にも、落ち葉はミミズや小さな昆虫などの食料にもなります。
そのフンもこれらの微生物によって分解され、また植物の養分になるんですね。

ところで、葉子さんの集めた落ち葉はその後どうなったか、行方を追ってみましたか?
もしかしたらどこかに集められてそのまま分解されるのを待って、校庭の花壇の肥料などに利用されているのかもしれませんよ。

「腐る」と「発酵する」、どう違うの?

イラスト

「腐る」「発酵する」のいずれも、実は微生物(細菌や酵母、カビなど)の働きによる現象です。
例えば細菌の仲間は、いろいろなものを分解して栄養分にし、繁殖します。
このとき、自分たち以外の細菌がとりつかないように、他の細菌が嫌う(あるいは他の細菌を殺す)化学物質を作り出すのです。
作られる物質が人間にとって有害な場合には、このプロセスを「腐敗」、つまり腐るといい、この細菌を「腐敗菌」とよびます。
肉や魚が腐ってイヤなにおいを出すのは、腐敗菌が有害な物質を作っているためなのです。
逆に作られる物質が人間に都合の良いものの場合には「発酵」と呼んでいます。
日本酒などのお酒を造るのには、細菌がお米などの糖分を分解してアルコール成分を作り出す働きを利用しています。
またチーズや納豆なども、それぞれ別の菌が元の材料の風味を良くしたり栄養を高めているのです。

このように、「腐る」と「発酵する」の違いは人間の都合による区別で、生物の働きとしては同じもの。
発酵したものは食べられるけど、腐ったものは食べられない、実はそれだけのことなんです。

ここで、クイズ!

画像 ミクロショット700

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商品詳細

次のうち、発酵と関係ないものはどれでしょう?

  1. パン
  2. しょうゆ
  3. 鰹節
  4. 塩辛
  5. アンチョビ
  6. キムチ
  7. ヨーグルト
  8. ナタデココ
  9. 紅茶

クイズの答

実はすべて発酵食品です。
鰹節やナタデココなどは意外かもしれませんですが、それぞれ鰹節カビ、酢酸(ナタ菌)の助けを借りて作られているのです。

科学情報誌「So-TEN-Ken」Vol.24より転載。

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