全国家庭顕微鏡普及協会

第5部 一番身近なミラクルワールド - 人体
第3話 染めて染めて! 細胞はカラフルに楽しもう!!

画像 ほおの内側

ほおの内側の粘液。細胞の中央に丸い核がよーく見えるでしょ?染色にはメチレンブルーを使用(400倍)。

最も身近にあって、最も魅力的な観察対象…それは“自分の体”。
じっくり顕微鏡で観察してみたいけど学校の理科室ではちょっとやりづらい。
こんなときこそ全国家庭顕微鏡普及協会の出番です。
こっそり自分の体の神秘に迫ってみましょう。
今回の観察テーマは「細胞」。
これを知らなきゃ人体は語れない!?

いろいろな色で染めてみよう

画像 細胞の中

人間の体はおよそ60兆個もの細胞でできていると言われています。
そう、「すべての生物は細胞でできている!」(※1)。
皮膚や骨、内臓はもちろん、髪の毛だって細胞がつながってできています。
そしてそれら1つ1つに重要な役割があるのです。
例えばDNA。生命の設計図とも言えるDNAは細胞の中にある核に収められていて、新しい細胞や体の中で働く薬などが作られたりします。
また細胞の中には酸素を使ってエネルギーを取り出す仕組みや、植物の場合には光と二酸化炭素から養分を作る仕組みなどもあります。
「でも人間の細胞なんて簡単に見られるの?」「痛いのはいや!」なんて心配はいりません。
実はこんな簡単な方法で観察できちゃいます。


画像 ほおの内側

ほおの内側の粘液を緑色の万年筆用インクで染めてみました。核もよく染まっていて見やすいでしょ(400倍)。

画像 ほおの内側

同じほおの粘液を赤インクで染めたもの(400倍)。

まずは口の中。ほおの内側をスプーンなどで軽くこすって、ついた粘液をスライドグラスに載せて見てみましょう。
でも細胞はほとんど透明だから、このままでは何が何だかわかりづらいですね。
そこで必要なテクニックが染色。
色のついた液体をスポイトでほんの1滴、スライドグラスの上にたらしてみましょう。
細胞の壁や核に色がついて、とても見やすくなります。
顕微鏡観察によく使われる染色液は、酢酸カーミン、メチレンブルーなど。
スライドグラスなどと一緒に観察キットとして市販されているので、簡単に手に入ります。
また身近にあるもので代用する方法も。赤チン(マーキュロクロム溶液)やうがい薬、万年筆のインクなどで染めることもできます。
いろいろ試してみて、見やすい色を探してみるのも楽しそう!

※1…例外はウイルス。ウイルスには細胞がなく、生物に含めるかどうかもまだ決まっていません。

いろいろな細胞を見てみよう!

ちょっと意外だけど、フケや耳あかも細胞です。
皮膚の表面が死んではがれ落ちたものがフケなどとなって、体外に排出されるのです。
死んではいるけれど、観察してみると一部に細胞の組織が発見できるでしょう。
さらに“細胞の死骸”は膿にも含まれています。
体内に侵入してきたバイ菌などを退治するために、白血球などが集まってきて戦った死骸が膿。
すでに壊れてしまった細胞なので、核や細胞壁を見分けるのは難しいけど「これが体の中で悪い菌をやっつけてくれた細胞たちか…」と思うと、なんだか大切な体の一部のような気がしてきませんか??

膿などを観察する際は、衛生に気をつけて行いましょう。

  • 画像 耳あか

    耳あかをスライドグラスに載せて、水を1滴たらしてカバーグラスをかけたもの(400倍)。

  • 画像 耳あかを赤チンで染めて

    耳あかを赤チンで染めてみました。薄くはがれた様子がわかります(400倍)。

  • 画像 青いインクで染めたフケ

    青いインクで染めたフケ。たくさんの角質細胞が集まっているように見えます(400倍)。

  • 画像 ニキビから出た膿

    ニキビから出た膿を赤チンで染めてみました。染まっていない部分に脂肪の粒のようなものがいっぱい見えます(100倍)。

  • 画像 膿をさらに拡大

    赤チンで染めた膿をさらに拡大。含まれている組織が違うと染まり方(色)も少し違ってきます。棒状に見えるのはうぶ毛(400倍)。

  • 画像 血液

    けがをしてしまったときに出てきた血液をちょっとスライドグラスに載せて。これは染色していない状態で、真ん中がへこんだアンパンのように見えるのが赤血球(400倍)。

上級編

上手な染色のやり方

観察する試料をスライドグラスの上に載せたら、染色液を1滴たらします。
しばらく置いてからその上にカバーグラスをかけます。
色が薄ければそのまま観察しても良いですが、染色液の色が濃くて見にくい場合には、余分な染色液を吸い取ります。
方法は、スポイトなどでカバーグラスの端に水をたらし、反対側の端に吸い取り紙などを当てて吸い取ります。
染色液は流れて吸い取られたものの、試料には色が残っているという状態がベスト!
なお、染色液をたらしておいておく時間は、だいたい1分から数10分。
観察するものや染色液の種類で異なります。
どの試料にどんな染色液を組み合わせるかも含めて、いろいろ試して工夫してみましょう!

科学情報誌「So-TEN-Ken」Vol.32より転載。

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