全国家庭顕微鏡普及協会

第7部 動く動く! ミクロの世界に突入!
第1話 ニョキニョキ伸びる花粉管

花粉管

温度など、適した環境を作れれば、1~2時間でこんなに伸びた花粉管が見られる。みるみる間に長くなっていく様子から目を離せない!? 倍率を上げると花粉管の中の流れも見ることができる。(150倍)

どんなに小さなものでも、生きている限り様々な成長や変化があります。
ミクロの世界だからこそ感じられる生命体の不思議…全国家庭顕微鏡普及協会第7部では、“動く”ものがターゲットです。
まあ理屈はどうであれ、“動く”ものはおもしろい! まずは顕微鏡の先にある“ニョキニョキ”をのぞいてみよう!

  • 茶の花粉1

    スタート!

  • 茶の花粉2

    30分経過。粒の一部がとんがって、何か飛び出てきた! 実は今回は気温が低い中で観察していたので時間がかかったけれど、暖かい季節ならもっと短時間(5分ぐらい)で変化が始まるはず。

  • 茶の花粉3

    何か飛び出てきたと思ったら、それが細長くなってきた。

  • 茶の花粉4

    スタートからここまで約1時間。棒みたいなものはニョキニョキ伸びていく。

  • 茶の花粉5

    うわっ! まだまだ伸びそう…。

  • 茶の花粉6

    1時間30分ぐらい経つと、こんな姿に。(ここまですべて200倍)

ニョキニョキの正体は花粉管。小さな生命誕生の過程です

茶の花

▲ 今回の観察に使ったのは、皆さんも飲んでいるお茶(チャ)の花粉。


めしべの構造

▲ めしべの構造。柱頭についた花粉から、写真のような花粉管が花柱の中をグーッと伸びていって胚珠の中の卵細胞まで到達するのだ。

最初の丸い粒はチャの花から取った花粉。
草花などの被子植物では、花粉がめしべの先端(柱頭)にくっついて細長い管を子房の中まで伸ばし、管を通して遺伝情報を送り込む。こうして花粉の中の遺伝情報がめしべの中の卵細胞の遺伝情報と合わさる(受精する)ことで種子が作られる。このときの管が写真のニョキニョキの正体、花粉管
花粉の直径は100分の数mm、大きくても1/10mmほど。柱頭から子房までは数mmから数cmほどあるので、花粉管は花粉自体の数100倍から数1000倍もの長さに伸びることになる。
しかも伸びる速度は1時間に数mm以上にもなり、植物細胞の成長速度としてはかなり速い。
顕微鏡で見ていると、それこそ“みるみるうちに”伸びていくゾ!

やってみよう!

カンテン培地

▲ <A> スライドグラスにカンテン培地を作成。

花粉が「めしべに到着した」と勘違いするように、栄養分(ショ糖)を含んだカンテン培地でめしべの柱頭に似た環境を作る。

  1. 水100mlに粉寒天1~2gを入れて沸騰させ、完全に溶かす。! やけどに注意
  2. ショ糖(料理に使う上白糖など)を5~20g入れて溶かす。植物によって花粉管の伸びやすい濃度が違うので、以下を参考に調整すると良い。
    スイトピー、ホウセンカ…10%(=10g)
    アブラナ、ユリ…15%(=15g)
    イネ科の植物…20%(20g)
  3. 熱いうちにシャーレなどの容器に厚さ5mmほどになるように流し込むか、スライドグラスの上に垂らす。スライドグラスを使う場合は、写真<A>のようにトレーなどに割りばしを2本並べ、その上にスライドグラスを置くと良い。
  4. ほこりが入らないように食品ラップなどでフタをして、カンテンが固まるまで冷ます。
  5. 十分に冷めてから花粉をまいて、カバーグラスをかけずに顕微鏡で観察する。
  6. 5~10分おきに観察するが、観察していないときはカンテン培地の表面が乾かないように注意! 濡らしたろ紙などをしいたシャーレなどの容器にスライドグラスを入れておいて、観察のときだけ取り出すようにすると良い。

カンテン培地は、数週間ならば冷蔵庫で保存可能。使うときにはあらかじめ冷蔵庫から出しておき、室温に戻してから花粉をまくようにする。

科学情報誌「So-TEN-Ken」Vol.38より転載。

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